名刺・パンフレット・書籍など様々な印刷物を弊社では扱っておりますが、ここでは実際にデータ作成後、どのような工程を経て完成するかをご説明します。

Re:ゼロから始める印刷知識
面付け
図1:面付け
① 面付け(めんつけ)
まずは、大判の印刷用紙に合わせて複数ページのデータを並べる「面付け」作業を行います。
パンフレットやチラシ、書籍のページが1枚ずつプリントされて出てくるイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、実際の印刷では幾つかある定型サイズの大判用紙にまとめて並べた上で印刷をしています。
例えば、コピー用紙でよく使われるA4サイズ(210ミリ×297ミリ)のチラシを作りたい時はA全サイズの大判用紙(625ミリ×880ミリ)から8枚とれるのでA4サイズのデータを8枚並べた状態で版を作って印刷します。
また、パンフレット等の本の状態になる商品も同じで、ご指示通りのページ順番になるように大判サイズに配置します。※図1

②刷版(さっぱん)
①で説明した面付をした状態で印刷に使う版、刷版を作ります。イメージとしてはハンコや、版画の木彫り板的なものです。
以前は刷版を作成するために台紙を作成、データからフィルムを出力してそれをアルミ板に焼き付ける工程が必要でしたが、現在ではデータから直接刷版を作るCTPというシステムが一般的になり、コスト・スピード面でかなり便利になりました。※刷版を出してる様子の写真1と動画

CTP
写真1:CTP

印刷機
 
図2:印刷機
③印刷
②でイメージする例として版画を上げましたが、昔の印刷技術は凸版(活版)印刷と呼ばれ、その名前の通り、凹凸のある板を使って紙に転写する方法で行われていました。
版に凹凸があるため摩耗したり、実際の文字よりも多少太くなったりといった現象が起こる問題を解決するため、より精彩で大量生産ができるよう版に凹凸のない平版(へいはん)印刷が開発されました。写真や文字の細部まで鮮明に印刷することが可能で、現在の商業印刷物や美術印刷の多くはこの印刷方式が用いられています。代表的な印刷方法として「オフセット印刷」が挙げられます。
刷版についたインキをブランケットと呼ばれる樹脂やゴム製の転写ローラーにいったん移し(Off)そのブランケットを介して印刷用紙に転写(Set)されるといった、版と用紙が直接触れない印刷方式から、「オフセット」という名がつきました。
オフセット印刷は平版印刷であるため、版に凹凸はありません。版(アルミ板)の上で、水(湿し水)と油(インキ)との反撥し合う性質を利用し、インクがのる部分とのらない部分とを分けています。
印刷機の仕組みとしては、版胴と呼ばれる部分に版が巻き付けてあり、そこへインキと湿し水が供給されていきます。
版とブランケットが接触し、ブランケットに転写されたインキが、用紙へと印刷されていきます。版が直接紙に触れないので磨耗が少なく、非常に鮮明な印刷が可能です。※図2

<オフセット印刷の色表現とコンピューターでの色表現>
・一般的にフルカラーの印刷物は、4色のインキ(シアン/C・マゼンタ/M・イエロー/Y・ブラック/K)がそれぞれの版に重なり合って印刷され、フルカラーが再現されています。※図3
・一方、コンピューター上での色表現は3色の光(レッド/R・グリーン/G・ブルー/B)でフルカラーが再現されます。

4色分解
図3:4色分解

<オフセット印刷の種類>・・・枚葉印刷機と輪転機
オフセット印刷機には、紙1枚ずつに印刷をしていく枚葉機(まいようき)トイレットペーパーのような巻取り紙に連続的に印刷する輪転機(りんてんき)などがあります。枚葉機は1枚ずつの紙に印刷するため、紙の選択に自由度が大きく、小ロットの印刷にも対応しています。輪転機は機上でインキ乾燥、用紙の折りと断裁ができるため、生産性が高く大ロットの印刷(大部数のチラシや雑誌・書籍の印刷など)を短時間での製造に向いています。
※図4:印刷機の写真

動画:8色機(4色両面機)
動画:UV照射機
オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いとは?
オンデマンド(On demand)印刷とは、「要求・必要に応じて必要な部数を提供する印刷」という意味です。
原稿データをダイレクトに読み取って複写・製本までを一貫処理する印刷方式で、 製版作業の必要がないため、小部数の印刷や短納期での対応が必要な印刷に適しています。細部の再現性においてはオフセット印刷に劣りますが、家庭用プリンターと比較すると格段に綺麗で、一般的な商業印刷レベルの仕上がりを実現します。

オンデマンド印刷のメリット/デメリット
オンデマンド印刷のメリット
・多品種・短納期・小部数」多品種対応(豊富な商品ラインアップ)
・名刺、DM、チラシ、冊子だけではなく、ポスターやパネルなど店頭や展示会でご利用いただける商品、シール/ステッカー、マウスパッドといったグッズやノベルティに使える商品まで様々な印刷商品をご用意できます。
・短納期対応・・・製版行程が不要なオンデマンド印刷は、納品のスピードが違います。情報の更新が頻繁なDMやチラシ、会社案内、パンフレットなど情報の修正・増刷の際もスピーディに対応可能です。
・小部数対応・・・小部数から対応可能なオンデマンド印刷なら必要な分だけをその都度ご注文いただけます。不要な在庫の保管や廃棄を削減することができるため、節約・節電・エコにつながります。また小部数で多様なデザインの印刷物の作成にも最適です。
オンデマンド印刷のデメリット
・印刷品質についてオンデマンド印刷機の特性上、ベタや平網、写真等は色ムラが発生しやすくなります。
・印刷用紙・メディアとの組み合わせにより、細かい文字は線は若干にじみます。インクジェット式またはトナー式の印刷の場合、摩擦や折りによるインキのひび割れが発生することもあります。

ワンポイント!
④ 製本
パンフレットや書籍などのページがある物は印刷後に製本工程があります。製本工程は大きく分けて4つの作業に分かれています。
 ① 折 り・・・大判用紙にページを面付けして印刷したものを、折って実際のサイズに近い「折り丁」にします。
 ② 丁 合(ちょうあい)・・・複数の「折り丁」を重ねて冊子のページ順に整えます。
 ③ 綴 じ・・・丁合した折り丁を接合して1冊にします。接合方法は様々でそれが製本方法の分類になります(例:アジロ綴じ・かがり綴じ等)。
 ④ 断 ち・・・折り丁は紙が袋状につながったままなので最後に背表紙以外の3辺を断裁して仕上げます。※図5

製本工程
図5:製本工程

<製本の種類と特徴>
冊子を作る際に、仕上がりサイズやページ数、使用目的によって製本の種類を選ぶ必要があります。製本の種類は大きく分けて「上製本」と「並製本」に分かれます。
・上製本(じょうせいほん):本文とは全く別に、ひとまわり大きな分厚い表紙を接合する冊子のことで、ハードカバーとも言われます。美術作品集や辞典など長期保存が必要なものに使用されることが多く、表紙に布を巻いて金箔を押したりと豪華な作りもできる分コストも高くなります。
・並製本(なみせいほん):書店に並んでいる本のほとんどが、この並製本です。並製本には製本方法の違いからいくつかの分類があり、その中でもよく使用されているのが「中綴じ製本」と「無線(むせん)綴じ製本」です。
(中綴じ製本)冊子の中央部を針金で綴じた製本。シンプルな分低コスト作成可能で週刊誌などでよく使われます。
(無線綴じ製本)丁合した本文の背を切り落としてボンドで接合し表紙を巻く1番スタンダードな製本方法です。文庫やコミック等殆どの書籍がこの製本で作られています。※図5